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子育てコラム

子どもと向き合って

読み聞かせグループ 虹の会  代表 夏井康子

はじめまして。私は夏井康子と申します。子育てについて難しいことは、私にはわかりませんが、今日までの私の子育てについて、お話しします。
 私が、初めて子どもと向き合うことになったのは、19年前です。結婚して、子どもは普通に生まれてくるものと疑いもせずにいた私のもとに授かった子どもは「ダウン症候群」という発達障害をもった子どもでした。右も左もわからない新米の母親に「障害」という言葉は、すぐに受け止められるものではありませんでした。色々な声が、頭を駆け巡りました。しかし、目の前で生きようとしている子どもを前に、時間を止めておくことはできない。出来ることをしないと...。不安を抱えながら、生かす為、生きる為、壁を乗り越える為、動き出さなければなりませんでした。
 多くの方の力や智恵を借り、たくさんの人と出会う中で、少しずつ覚悟を決めていきました。その出会った中で、小児療育センターの小児科の先生が言った言葉で私は気持ちが楽になりました。「この子たちは、特別ではない。どんなに偉い人でも最後は皆、障害者です。普通の子どもと同じです。」「少し時間がかかるけど、必ず成長します。ここから親であるあなたたちが一番やらなければならない事は、我慢をすること。子どもがひとりで動き出そうとするとき、すぐに手を出さずに見守ること。一番難しいことです。」この言葉を聞いた日から、私は泣くことがなくなり、子どもの為、思いつくすべての事を試みました。「童謡を聞かせ、歌う」「口元に抱きかかえ毎日話しかける」何が良いかもわからないけれど、自分が育てられていた頃の過去から拾い出し、色々な人から話を聞き、いつか結果になると信じて...。
今でも、息子が見せてくれた忘れられない光景があります。顔の上に乗ったハンカチを自分の手でつかみ取った時のことです。自分の手をどう使って良いのかわからない息子は、看護師さんや医療スタッフに教えられ、私が数時間席を外した間にクリアしていました。「どう!ぼく出来たよ!」と満面の笑みで迎えてくれました。その時、「この子は大丈夫!」と思い、笑いながら涙が止まりませんでした。
その後も、ひとつひとつ壁を乗り越えてたくさんの笑顔をくれました。今思うと、子どもを育てながら、ひとつ山を越える毎に、私は親にしてもらっていたのだと思います。
今年の春から、息子は社会人になり、初めての給与を嬉しそうに持ってきました。すごーーーいどや顔でした。その中から妹におこづかいも渡していました。もらった妹は、そのおこづかいを使うことなくしばらくはしまっていました。「お兄ちゃんのくれたのは使わない!」と。ほほえましい光景でした。娘もまた、一緒に育つ中で何かを感じ取ってくれているのかもしれません。まだ、子育ては継続中ですが、120%のサポートをしてくれた母は亡くなり、ここからが私の正念場!この先、この子が自立できるようになるには、まだまだ目標は山積みです。でも、楽しく子どもと向き合っていくつもりです。

夏井
夏井
2016.10.01
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