あけましておめでとうございます。このコラムが元旦早々に更新されるとのことで、新年の大役を仰せつかり恐縮です。今年もおがっこネウボラをよろしくお願いいたします!
皆さんはどのような新年をお迎えでしょうか。家族や親戚が集まったり、初売りに行ったり、はたまた自宅でゆっくり過ごしたり、お仕事の方もいらっしゃるかもしれませんね。
お正月は子どもにとってもワクワクがいっぱいの時間です。特別なお料理が並び、特別なお小遣い(お年玉)をもらって、大人になった皆さんも思い出として残っていることがあると思います。
さて、今回はそんな「思い出」=「記憶」のお話です。皆さんは、ふと香った香りが懐かしい過去を思い出させた、なんて経験はありませんか。ある匂いが、それにまつわる記憶を呼び起こす現象は「プルースト効果」と呼ばれています。匂いは、神経を通して脳のなかの「大脳辺縁系」と呼ばれるところに直接届きます。私たちはそれによって匂いを認識するのですが、その場所は、記憶や感情を司る場所でもあるのです。そのため、匂いによって記憶や感情が呼び起こされるのではないかと言われています。
男鹿は大晦日にビッグイベントを控えていますので、「年末年始、全部合わせてお正月」と言わんばかりの特別感が漂います。そこには、その時期ならではの匂いがあり、その匂いを嗅ぐと昔のことを思い出すというかたもいらっしゃるかもしれません。例えば、もち米を蒸かす匂いをかぐと、お正月のためにお餅をついた家族との楽しい時間を思い出すとか、わらの匂いをかぐと、泣き叫ぶ自分をなまはげから守ってくれた家族の温かさを思い出すとか、いろいろな匂いが私たちの記憶を呼び起こします(なまはげに関しては、恐怖感を呼び起こす人のほうが多いかもしれませんね)。
良くも悪くも、過去の記憶は私たちのその後の感情や行動に影響を及ぼします。温かい気持ち、嬉しい気持ち、穏やかな気持ち、安心する気持ちなど、いわゆる肯定的な感情を引き起こすに至った幼少期の記憶は、大人になってからも有効に働きます。もち米の匂い→家族との餅つき→笑い声→楽しい時間→希望・勇気・励まし...など、過去の記憶が今を生きる力につながっていくのです。記憶を呼び起こすのは、もちろん匂い(嗅覚)だけではありません。味覚、触覚、視覚、聴覚...さまざまな感覚を通して過去の記憶が思い起こされます。いずれにせよ、肯定的で豊かな記憶は、その後の人生の困難を乗り越える力となっていきます。その記憶は何も特別なものである必要はありません。寒い朝、目を覚ました時にかすかに漂う味噌汁の匂い、夜眠るときにいつももぐりこんでいた母親の布団の匂いなど、日常の些細な記憶が、自分が守られ愛されてきたことを大人になってからも思い起こさせてくれるでしょう。愛された気持ちが、自己肯定感や自尊感情を育み、それが人の強みになります。
もうすでに「子育て」は「人育て」であることを実感しながら過ごしているお父さんお母さんもいらっしゃると思います。幼少期からの一つひとつの経験、記憶、感情の積み重ねが人を育んでいきます。
すべての子どもと家族が健やかに生きられる毎日をめざして、おがっこネウボラは今年も頑張ります!