「育休を取りたいのですが。」
上司に相談したのは秋も深まった頃でした。
子どもが8月に生まれ、妻と一緒に初めての育児に日々奮闘している中で、まだ職場では浸透していない男性の育休の取得に一歩踏み出してみました。
自分が想像していた反応とは違い、上司からは好感触の反応が返ってきました。初めてのことに挑戦することを後押ししてくれた職場の皆さんに感謝しながら、私の(そして市役所初の男性の)育休はスタートしました。
期間は12月の3週間、生まれた子どもは4か月目に入るところでした。子どもが生まれてから帰宅後や休日は育児をしていたので、その延長だろうと考えていましたが、その考えは早々から覆されました。簡単に言えば生活の中心が自分から子どもへ移るということです。今までは自分の生活の空いた時間に子どもの世話をしていたのですが、育休を取って一日中子どもと一緒にいるとそう都合よくはいきません。子どもが泣けば自分の都合をすべて投げ出して泣いている原因を探り対処しなければなりません。またミルクを飲む3時間のサイクルが延々と続くことも心のゆとりを奪っていきました。ミルクを飲ませて、おむつを替えて、哺乳瓶を洗って、ミルクを吐いたら着替えをして、少し遊んで、眠って少し経つとまたすぐ次のミルクの時間となります。眠っている少しの時間に自分のトイレや食事といった行動をここに集約しなければなりません。また哺乳瓶の消毒で手や指がカサカサに荒れてしまうということも育児中の勲章となっています。
自分が今までやっていた育児は育児体験の域を超えていないのだなと感じさせられました。育児の大変さは繰り返される日常と日々起こる予想外な出来事からくる心の疲労なのだと感じさせられました。幸い妻も育休中で家にいてくれたので、本当に困ったことがあれば助けてくれるようにしてくれたので助かりました。しかし妻は私が仕事でいない間一人で戦っていたのだと思うと感謝の思いを持たずにはいられませんでした。
子どもを病院に連れて行った時も、その大変さを思い知りました。駐車場で子どもを抱きかかえて車から降りるとき、受付機に診察券を通すとき、問診票を書くとき、一人だと気づかなかった目線で問題を感じることがありました。
そんな大変な思いばかりの育休でしたが、子どもと一緒に居られて日々の些細な変化をこの目で見続けられることはその大変さを吹き飛ばしてくれるご褒美でした。呼びかけると微笑んでくれる我が子を本当に誇りに思います。そして日々私の育児を励ましてくれた妻に感謝します。
育休を終えていろんな人からゆっくりできたかと聞かれましたが、「大変だった」といつも答えました。仕事とは違った忙しさが待っているからです。でも充実はしていました。
今回は3週間の取得でしたが、今後また取得できることになればもっと長期間取得したいと考えています。
最後に育休取得前に読んだ本の中から自分の育休取得の背中を押してくれた言葉を紹介して体験記を終わります。
「子育てを終えて一番うれしかったのは共働きの妻から"戦友"といってもらえたこと」