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子育てコラム

インフルエンザの話

かぜが流行する季節となりました。ちょうど今から100年前の1918年は、スペインかぜが大流行した年です。第一次世界大戦の最後の年でもありました。スペインかぜによる死者数は4000万人とも言われ、戦死者よりも多かったとのことです。それから今日まで、アジアかぜ、香港かぜ、ソ連かぜが大流行し、また最近では2009年メキシコに始まった大流行があります。これらの「かぜ」は異なる亜型のA型インフルエンザによるものです。

インフルエンザにはA型、B型、C型があります。B型とC型には亜型がないために、大流行は殆どありません。しかし、A型の場合には144種類の亜型があり、人間に流行しているのは先ほどのほんわずかの種類であり、またいくらかはブタなどの哺乳類にも感染しますが、全ての種類は鳥に存在しています。鳥に感染するウイルスが人間に感染することはほとんどありません。けれども特にアジアの暖かい地域などにおいて、人間に感染するウイルスと鳥に感染するウイルスが両方ともにブタに感染した場合には、体内で混じり合って人に感染する新型のインフルエンザに変わる可能性があります。1997年、香港で鳥にのみ感染するインフルエンザが、人に感染しました。鳥に直接接触した場合のみでしたので、流行はありませんでしたが、死亡率は50%に近いものでした。A型インフルエンザの亜型の多くは低病原性ですが、近い将来いくらかは高病原性の新型インフルエンザとなって大流行する可能性があります。これについては医療関係者のみならず、行政機関も監視を続けています。

最近の医学の進歩には目覚ましいものがあります。インフルエンザにおいても例外ではありません。検査キットが開発されていますので、A型かB型かの診断は可能となりました。また治療においても、熱や咳嗽などの症状が出た場合には、抗インフルエンザ薬(内服薬と吸入薬)が数種類ほど処方可能となっていますし、場合によっては注射薬も使用可能となりました。

けれども、予防に勝るものはないと思います。予防接種は生後6カ月より可能ですので、是非毎年受けるようにしましょう。また、日頃からマスクや手洗いを心がけ、栄養や休養をとり、適度な運動を実行したいものです。ストレスを溜め過ぎると、身体の免疫力が弱くなって、インフルエンザ等にかかりやすくなりますので、家庭や学校などでのストレスに対しては適度な発散も心がけましょう。

男鹿みなと市民病院 小児科医師 松野健一
男鹿みなと市民病院 小児科医師 松野健一
2018.11.01
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