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子育てコラム

新型コロナと災害 避難はどうする?

まもなく東日本大震災が発生してから10年が経とうとしています。2020年(令和2年)9月時点でこの震災による死者・行方不明者は1万8,428人、また、避難生活などで亡くなった「震災関連死」は3700人以上で、「関連死」を含めた死者と行方不明者は2万2000人を超えています。復興庁によると現在でも5万人近くの避難者が仮設住宅で生活しているなど、今もなお消えない大きな爪痕を残しています。東日本大震災から「もう10年」という方、「まだ10年」という方、様々な感じ方があるかと思います。ただ一つ変わらないことは、過去に起きた大災害は例外や想定外ではなく、現状考えられる実際に起きた最悪の事態ということです。東日本大震災からは約10年が経ち、その後も台風・大雨による水害が各地で度々と起こり、災害への意識は高まっているように思われます。

しかし、実際には、多くのアンケート調査の結果などから「防災対策はしっかりしている」人はそれほど多くないのが現状。地震大国ともされる日本での災害対策はなかなか身近なものにならないようです。

そして、今年は、新型コロナウイルス感染拡大防止への対策が"新しい生活様式"として日常的に求められています。感染を予防しながら日常生活を送るwithコロナの時代。緊急事態宣言が解除されて以降、自粛要請の緩和や都道府県間の移動、大型イベントの解禁、Go To トラベルキャンペーンなど、徐々に経済活動を戻していく動きがはじまりました。

新型コロナウイルス感染症がまん延する状況において、特に変化が起きているのは「もし災害が起きた場合に、"避難所"へ行くことに抵抗がある」人が増えていることです。避難所は普段より3密(密閉・密集・密接)の状態に近く、衛生状態も悪くなりやすいところです。そのため、災害発生時、少人数・個別空間での避難を優先する、分散避難が進められています。"分散避難"とは、災害時に、自宅の2階や近隣宅、車内で待機するなど避難所以外へ避難することにより、3密を防止し、感染症による2次災害を防ぐための避難方法です。また、自宅が危険な場合も、避難先は市が開設する避難所だけではありません。指定避難所は本来「自宅が被災して帰宅できない場合に、一定期間、避難生活を送るための施設」であるため、指定避難所が過密状態になることを防ぐためにも、これからは、「避難所」への避難以外に、「親戚・知人宅」「ホテル」「在宅避難」「車中泊」などさまざまな避難先に、地域の人たちが分散して避難することが大切です。そのためには、万が一の際の避難先を現時点で家族や親類の間で情報共有を行っておく必要があるでしょう。感染リスクを減らすためにどんな対策ができるか、必要なものを備えたりして、イメージトレーニングをしておくことが大切です。

【こんな時だからこそ、家で防災キャンプ!キャンプ気分で備えて憂いなし】

この機会に、防災について考えてみませんか?電気、水道、ガスがストップした時に、どうやって家族が1日を乗り越えるかを学ぶ防災キャンプはいかがでしょうか。災害時でも自宅で過ごすことを想定する人が多く、これからの防災対策はそれぞれの自宅、今の生活の中で危機を乗り越える対策を考えることになっていくのではないでしょうか。災害が起きたことを想定してレジャーシートなどを敷いて、床で1日過ごしてみれば、今まで気づかなかった防災対策のコツや課題が見えてくると思います。遊び感覚ながら、いざという時の備えを見直し、意識を高められる絶好のチャンスなのです。

避難所では、集団感染を防ぐために体育館に加えて教室なども活用するという案もあるそうですが、限界はあると思います。家にいる時間が増えた今だからこそ、防災対策にも改めて意識を向ける機会にしたいです。家族で防災グッズや非常食の蓄えを確認してみたり、散歩がてらに避難ルートを確認してみたり。防災キャンプがおうち時間を楽しむ遊びにもなるなら、一石二鳥ではないでしょうか。万が一の時に問われるのは、被害を最小限に抑えるための一人一人の落ち着いた行動と災害への備えだと思います。毎日の生活に取り入れられることから徐々に始めていくことで、その活動は持続させていきやすいものになるはずです。是非、ご家族でチャレンジしてみてください。

日本赤十字秋田短期大学 講師 及川真一
日本赤十字秋田短期大学 講師 及川真一
2020.10.05
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