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子育てコラム

いつでも、どこでも、無料でできる「マインドフルネス」

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人は一生の中で絶えず変化を続けていますが、特に妊娠・出産・子育て期は短期間での大きな変化があり、体だけでなく心にも大きな負担がかかります。通常であれば子供の検診等で同じ歳の子を持つ親同士、互いに話したり聴いたりすることで、子育ての不安やストレスが和らいだり、趣味やスポーツに没頭することで気分転換できます。しかしコロナ禍でその機会は減り、やりたいことができない、行きたいところに行けない、会いたい人に会えないなどで心のケアが難しくなっている人がいるかも知れません。

マインドフルネスは、坐禅やヨガの瞑想法をヒントにわかりやすく再編したもので、精神面では緊張・うつ状態の緩和、不安の減少、ストレス耐性の向上が実証されています。 脳機能面では集中力・記憶力向上、複数の仕事を並行して進めている状況下でも一つ一つの事に集中することができるようになり、仕事や勉強で質の高いパフォーマンスにつながるようです。

心の動きに注意を向けてみると、現在よりも過去や未来に思いをはせている時間の方が長いことに気付きます。私たちの記憶は感情により強化されます。「苦しみ・悲しみ・嬉しさ」を伴う経験はしっかりと記憶され、未来の危険を避けたり、好ましいことを呼び込む行動を促し、人類は生き延びてきました。特にネガティブな感情に人間は強く反応しますが、それは自分にとって危険や不都合な状況から離れ、生き延びるためです。思春期の若者の感情は揺れやすいものですが、それによって記憶が強化され生きる術を身に着けていきます。
子育てする母親の心も繊細になりますが、それは赤ちゃんや状況の変化を敏感に感じ取り、繊細でか弱い赤ちゃんを守り育てていくのに必要なことであり自然なことです。

しかし「子育てや夫婦喧嘩でイラっとした」、「他の子と比べてしまい不安や嫉妬心が離れない」、「気分が落ち込み胸がモヤモヤする」など心の動揺を引きずり、重い感情を抱えたまま過去や未来を行ったり来たりを繰り返すと心は疲弊し、子育てや生きるモチベーションも低下します。今この瞬間に自分がしている経験を十分に自覚しないまま多くの時間が過ぎ去ってしまいます。
生きていれば日常には様々なことが起きます。小石を池に投げ込めば波紋は広がるように、それは当然のこと。ですが、それに囚われてどうにかしようとすると、心の波紋はいつまでも止まりません。むしろもっと大きな波を立ててしまうことも、コロナウイルスより強い感染力で周りの人に広がってしまうことさえあります。

マインドフルネスでは過去や未来の重荷を降ろし、「今ここ」に心を集中します。
色々な手法がありますが3つ紹介します。1つは呼吸に意識を向けることで今ここに心を置きます。呼吸の度に動く体の部位の感覚に注意を向け、今この瞬間に注意を向けます。2つ目は心の動揺を追い払わず、追いかけず、心を無視せず、心のさざ波を感じます。否定せず、非難しない。「今の私の心、こうなんだね」と受け止めます。自分の心のあり様に気付くことは心の安定につながります。
もう1つ試してもらいたいマインドフルネスは、普段は目もくれない地元の山や海、田んぼや畑、夕陽や雲の流れに目を向け、ゆったり呼吸すること。男鹿半島の日常にある自然の美しさが皆さんの幸福度を高めてくれるはずです。
1回でモヤモヤがさっと消えるわけではありませんが、毎日2~3分でも続けているといつの間にか心をリセットするのがスムーズにできるようになっています。

コロナ禍はできないことも多いけれど、自分の心に向き合い、どんな心のあり様を得たいのか、それをどう育てどう深めていくのか、人生をより豊かにするチャンスです。ストレスとうまく付き合いながら、はつらつとして子育てに取り組むことは、子にも親にも社会にも欠かせない重要なことです。
スマホに吸い取られる時間の一部でも構いません、マインフルネスをお試しください。

~簡単なマインドフルネスのやり方~
1.首を・肩を回し、予め体を軽くほぐし、肩の力をぬき、楽にすわれる姿勢を探します。畳でもイスでもかまいません
2.目は半分開け、斜め下方に目を向けます。まばたきは自然に行います。または閉じても構いません。
3.フーッと深く息をはき、深呼吸を3回、あとは自然で楽な呼吸を続けます。
4.呼吸時のお腹・胸・鼻・口の空気の出入りなど、一つの感覚を選び、そこに意識を向けて下さい。
5.自分の心に湧いてくる様々な思いや感じを受け止めている自分に評価をくださず、ただ観察します。そしてまた今の体の感覚に注意をもどします。

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大龍寺 住職 三浦賢翁
大龍寺 住職 三浦賢翁
2021.08.01
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