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子育てコラム

子育てに想う

私の二人の娘たちは、今年で35歳と33歳になる。私が子育てをしていたと言えるのは、彼女たちが生まれてから高校を卒業するころまでだから、もう随分昔のことになってしまった。

当時は、マル福も児童手当も全然充実していなくて、保育料も当時の私の給料に比べると負担の大きい額だった。その頃に比べると、今の子育て世帯は経済的になんと恵まれていることか。

とは言え、いかに社会的、経済的に恵まれようとも、子育ての大変さは、それらとは全く違った次元のものだと思っている。

生まれてから1年くらいは、ミルクを飲まない、少し飲んだと思えば吐き戻す、ちょっとしたことで肌がかぶれる、下痢をする、便秘をする、熱を上げる、夜泣きをする。少し成長してからも、土曜日の夜中に限って熱を上げる、オムツがなかなか外れない、突然発疹が出たり痒がったり痛がったり心配が絶えない。

仕事だって大変なのに、日々ご飯をあげて、オムツを替えて、一緒に遊んで、お風呂に入れて、寝かしつけるために絵本を読んで、ああキリがない。やれやれ、少子化も納得せざるを得ないほどの重労働と精神的な負担の絶え間ない連続が子育ての真実ではなかったか?今現在、子育てをしている皆さんに敬意を込めて、頑張れとエールを送りたい。

だが待てよ、子育てに苦労した記憶の部品やかけらばかり集めてみると前述のようなことになるのだが、実感としては、そんなに苦労ばかりしていたとは感じていない。

むしろ、自分を親として心から信頼してくれる娘たちとの楽しい喜びの日々と言った方が正しい気がする。幸い、私は娘たちに反抗されたり嫌われたりした記憶がなく、今も良い関係を保っている。少なくとも自分ではそう思っている。

子育ての濃密な時間は、新生児から乳幼児の時期を経て小学校、中学校、高校と年齢が上がるとともに段々希薄になっていくし、人によってその関係性は違うかもしれないが、いずれにしても終わってみれば短いものだ。長い人生のほんのひとときを子どもと過ごしたに過ぎない。それでも、子どもを育てたことは、私の人生を豊かなものにしてくれたと思っている。あからさまに誰かに伝えるのは少し気恥ずかしいから、秘かに娘たちと出会えたことに感謝しながら、これからも彼女たちを見守っていくとしよう。

市民福祉部長 伊藤 徹
市民福祉部長 伊藤 徹
2023.03.03
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